翌日。早速、ショッピングモールのアクセサリーショップへ向かった。クリスマスシーズンなので、前来た時とは違うアクセサリーがたくさん店頭に出ていた。
ユーリ「悔しいですけど、すごくきれいです。この細かい装飾はどうやって施しているんでしょう?」
ユーリ君はいつのまにやら手に入れたルーペで商品を細かく見ていた。
キリカ「うわあっ!!そういうことは買ってからにしてよ!目立つから!」
ユーリ「!?・・・。でも、買っちゃいけないんでしょう?」
キリカ「うぅ・・・!!」
買ったとして私たちはいずれルカへ帰る身。持ち帰ることはできない。すると、やはり目立ってしまい店員さんがやってきた。
店員「しっかり見ていただいて大丈夫ですよ。」
キリカ「!!・・・す、すみません・・・。」
ユーリ「本当ですか!?ありがとうございます!」
ユーリ君は店員さんの厚意も理解せず、ルーペでアクセサリーを眺め出した。はあ・・・。
店員「ふふっ!今日はデートですか?」
キリカ「!?・・・え、あ、まあ・・・。」
恥ずかしかったのと、目立ってはいけない気持ちが混ざり合い、曖昧に答える。もう一人のユーリ君はアクセサリーに興味はないって話だし、大丈夫だよね・・・。
店員「可愛い彼氏さんですね!」
キリカ「!?・・・あ、ありがとうございます・・・。」
照れながら返すと、後ろからユーリ君が突っ込む。
ユーリ「違います!夫です!」
店員「えっ!!?」
キリカ「ユーリ君!!」
私は『余計なことを言うな!』と言わんばかりにユーリ君をにらむ。さすがのユーリ君も、まずいことを言ったと気づいたみたいだ。
キリカ「気持ちの上では『夫』・・・そうだよね?」
ユーリ「!?・・・は、はい・・・。」
店員「ふふふっ!仲がいいんですね!うらやましいですぅ!ゆっくりご覧になってくださいね!」
キリカ「はーい!」
店員さんが離れたのを確認した後、ユーリ君に小声で忠告した。
キリカ「バルでは彼氏にしておかないとダメだよ!前も話したよね!?」
ユーリ「!?・・・す、すみません・・・。もうそろそろいいのかなって・・・。」
キリカ「ダメ!バルの男性は、18歳以上じゃないと結婚できないんだから。」
ユーリ「うぅ・・・!!・・・そんなに僕、大人っぽくみえないですか?ハルキさんやジンさんには敵いませんけど・・・身長だって伸びてるんですよ!?」
キリカ「身長は関係ない。目立った行動をとるのが問題なの!」
ユーリ「!!・・・す、すみません・・・。」
ちょっと言い過ぎたかな?ユーリ君はルーペをポケットにしまい、俯いてしまった。私だって怒りたくて怒ってるわけじゃないんだけどなあ・・・。
キリカ「またユーリ君と一緒に来たいから言ってるんだからね?」
ユーリ「!!?・・・。はい!」
嘘でしょと思えるくらい単純でありがたい。みるみるうちに彼の表情が晴れやかになっていく。
キリカ「ちょっとお手洗いに行きたいから、ユーリ君はここで待ってて!」
ユーリ「一人で大丈夫ですか!?」
キリカ「治安がいいから平気。あっ!お願いだから、その店から動かないでね?」
ユーリ「!?・・・は、はい!」
一人で見ていれば、しゃべらないからボロもでにくいだろう。私は、気持ちゆっくりめでトイレへ向かった。