05 おばあちゃん

おばあちゃんの自室へ行くと、体調が悪いと聞いていたが、いつも通りの服装で椅子に座っていた。テーブルには小鳥のエサが置いてあり、数匹の小鳥がエサをつついている。

キリカ「おばあちゃん、ただいま帰りました。」

トキ「おやおや、しばらくだったね。」

おばあちゃんはそう言いながら、椅子から立とうとしたので制した。

キリカ「そのままで大丈夫だから。」

トキ「!?・・・。エレナから何か聞いたのかい。」

キリカ「!!・・・。聞かなくても分かるよ。急にエレナさんしか占術しなくなったら・・・!!」

トキ「・・・・。それでわざわざ帰ってきたのかい?」

キリカ「!!?・・・。」

この質問は『うん』と答えてはいけない。答えれば、おばあちゃんは私を叱り、病状を隠せなかった自分を責めるだろう。

キリカ「ううん。ユーリの仕事の都合で。」

トキ「・・・・・・。そうかい。」

少し間があったが、おばあちゃんは安堵して外を眺めた。

トキ「小精霊は近くにいるかい?」

キリカ「!?・・・うん。すぐそこに。」

私は庭の木々にいた緑の小精霊を手招きするように呼んだ。緑の小精霊はすぐにやってきて、おばあちゃんを見つめていた。

トキ「今、どこにいるのかね?」

キリカ「目の前だよ。ここ。」

小精霊に頭を撫でるように手を伸ばすと、おばあちゃんと小精霊の視線が合った。

トキ「しばらくここにいるよう頼んでくれないかい?」

キリカ「!?・・・う、うん・・・。」

おばあちゃんも小精霊に会いたかったんだと思うと、嬉しいな。占術師をやってるんだもんね・・・興味ないわけないよね!

トキ「少し横になるから、一人にしておくれ。」

キリカ「あっ、うん!」

私は緑の小精霊に軽く目で挨拶して、部屋を出た。

 

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