おばあちゃんの自室へ行くと、体調が悪いと聞いていたが、いつも通りの服装で椅子に座っていた。テーブルには小鳥のエサが置いてあり、数匹の小鳥がエサをつついている。
キリカ「おばあちゃん、ただいま帰りました。」
トキ「おやおや、しばらくだったね。」
おばあちゃんはそう言いながら、椅子から立とうとしたので制した。
キリカ「そのままで大丈夫だから。」
トキ「!?・・・。エレナから何か聞いたのかい。」
キリカ「!!・・・。聞かなくても分かるよ。急にエレナさんしか占術しなくなったら・・・!!」
トキ「・・・・。それでわざわざ帰ってきたのかい?」
キリカ「!!?・・・。」
この質問は『うん』と答えてはいけない。答えれば、おばあちゃんは私を叱り、病状を隠せなかった自分を責めるだろう。
キリカ「ううん。ユーリの仕事の都合で。」
トキ「・・・・・・。そうかい。」
少し間があったが、おばあちゃんは安堵して外を眺めた。
トキ「小精霊は近くにいるかい?」
キリカ「!?・・・うん。すぐそこに。」
私は庭の木々にいた緑の小精霊を手招きするように呼んだ。緑の小精霊はすぐにやってきて、おばあちゃんを見つめていた。
トキ「今、どこにいるのかね?」
キリカ「目の前だよ。ここ。」
小精霊に頭を撫でるように手を伸ばすと、おばあちゃんと小精霊の視線が合った。
トキ「しばらくここにいるよう頼んでくれないかい?」
キリカ「!?・・・う、うん・・・。」
おばあちゃんも小精霊に会いたかったんだと思うと、嬉しいな。占術師をやってるんだもんね・・・興味ないわけないよね!
トキ「少し横になるから、一人にしておくれ。」
キリカ「あっ、うん!」
私は緑の小精霊に軽く目で挨拶して、部屋を出た。