お父様に会うつもりでグラセウス邸に顔を出したが、航海日程が遅れているようで会えなかった。ルカの船は天候に左右されやすいため、こういうことがよくあるのだ。でも、フレイブリース行きの船は明日。せっかくリーネガイルへ来たのだからと初デートの時みたいに露店を回ろうかと提案したのだが、ユーリ君は頑なに首を振った。どうやらシュウ君たちが同行することになったせいで、不安を募らせたみたいだ。
ユーリ君は自分の部屋へ私を連れていくと、すぐに後ろから抱きしめた。
ユーリ「キリカ・・・キス以上のこと、して・・・。」
キリカ「!!・・・。まだ夕刻だよ・・・。」
ユーリ「!!・・・・・・・。」
彼は嫌だと言わんばかりに、きつく抱きしめた。こうなったら、もうかわせない。
キリカ「夕食の手伝いしたいから・・・ちょっとだけ・・・!?」
話している途中で、首筋を舐められビクッとなる。ユーリ君はすっかり私の敏感なとこを覚えてしまったみたいだ。
キリカ「んんっ!!」
ユーリ「ビクビクしてるキリカも好き・・・。」
キリカ「はあ、ダメだって・・・ばあ・・・!!」
足に力が入らず、座り込みそうになると、ユーリ君はそのまま抱きかかえてベッドまで連れて行った。ベッドに倒れ込むようにうつ伏せになっても、彼は執拗に首筋を攻めてきて、堪えきれずに掴んだシーツが一瞬でシワになる。
キリカ「んんっ!!ユーリ・・・ダメッ!!」
ユーリ「はぁ、キリカ・・・!!」
その後も、何度もダメッと叫んでいたが、ユーリ君に対して言ってないんだと気づく。・・・自分が怖いんだ。ユーリ君が本当のキス以上のことにたどり着く前に、自分の気持ちが抑えられなくなる気がして・・・。・・・・・。ユーリ君は本当に本当に・・・ズルいんだ。
ユーリ「!!?・・・。」
仰向けになって、彼のネクタイを引っ張って解いた。一瞬で、彼の顔が真っ赤になる。
キリカ「私が・・・いかがわしい人だったらどうする気?」
ユーリ「・・・・・・・。」
もっと戸惑うかと思っていたが、彼は優しく笑っていた。そして、マントを外し、ベストを脱いでいく。シャツはさすがに躊躇いを見せたが、それも思い切って脱いでしまった。ユーリ君にとって、この一連の行動がどれだけ敷居の高いことか知っていたので、私まで恥ずかしくなる。
ユーリ「ジンさんみたいに筋肉ないですけど・・・それでも、キリカさんが好きって言ってくれるなら・・・!!」
キリカ「!!・・・。」
背を向けて自信なさそうに話すユーリ君を後ろから抱きしめた。
キリカ「ユーリ君の身体が一番好き。最高のプレゼントだよ。」
ルカでは誕生日のときにお世話になった人にプレゼントを贈ると言っていたので、かけて表現してみた。・・・が、すぐに恥ずかしくなる。身体が一番好きとか、最高のプレゼントとか・・・変態だよ!
ユーリ「・・・・。しっかり受け取ってくださいね!」
キリカ「うわあっ!」
形勢逆転で、またユーリ君に覆いかぶさられる。半裸を見慣れてないせいか、頭はフラフラ状態に陥っていたが、おかまいなしに彼はキスしてくる。
キリカ「!!・・・んんっ!ユーリ・・・!!」
ユーリ「!!・・・キリカさん、キリカさん・・・!!」
恥ずかしさが上回ったユーリ君はさんづけで繰り返し名前を呼んだ。その可愛さときたら、尋常ではなく愛しくて・・・幸せだなと思える瞬間だった。
ユーリ「キリカさん、大好きです・・・!!誰よりも幸せにします。だから・・・一生、僕の妻でいてください!」
キリカ「!?・・・ふふっ!」
不安そうに見つめる彼を私は思いっきり抱きしめた。ユーリ君、大好きだよ・・・これからもずっと!