26 使命

おばあちゃんの葬儀は、街を上げて行われた。次のマイラスの長には、カナメさんが就任するという。精霊使いと兼任になるが、エレナさんも手厚くサポートするので問題ないらしい。

昼過ぎ。やるべきことが一通り終わり、自室に戻った。ユーリ君は多忙のエレナさんに代わって、買い出しに行っていて、ノノカも近くにいなかった。・・・・・・・。一人になると、頭の中は後悔でいっぱいになる。マイラスへ帰ってきたあの日、もっとおばあちゃんと話せばよかったなあって・・・。一人にしてほしいって言ったのも、私に気を使ってのことだったんだろう。おばあちゃんは厳しかったけど、優しかった。・・・・・・。涙がこぼれる。ああ・・・もう、おばあちゃんと話せないんだ・・・。

緑の小精霊「キリカ。」

キリカ「!?・・・。」

突然、緑の小精霊に話しかけられ、涙を拭いた。

キリカ「ん?どうしたの?」

緑の小精霊「トキ様から伝言預かってるのね!」

キリカ「えっ!?」

おばあちゃんは精霊使いじゃないのに、どうやって・・・。・・・・・。あっ!私と話した後、一人になりたいと言ったあの時だ。あの時、おばあちゃんは珍しく小精霊の存在を気にしていた。

緑の小精霊「『あなたが戻ってくる頃にはもう私は霊魂に還っていることでしょう。キリカ・・・会いに来てくれてありがとう。彼と末永く幸せに生きなさい。これは、私からの使命です。』」

おばあちゃんらしい素っ気ない文章だが、言葉の1つ1つに愛情を感じた。おばあちゃんは私が帰ってきた理由も、自分の死が近いことも分かっていたんだ。そして、使命という言い方をすることで、私に自分の幸せも、精霊からの使命と同等と考えなさいという優しさが込められていた。おばあちゃん・・・!!気が付くと、涙は溢れ、声を出して泣いていた。

キリカ「うわああああぁぁぁ・・・!!」

 

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