リーネガイルの港に着き、船を下りようとしていると、下でジンとネルさんが大きく手を振っているのが見えた。
キリカ「ジーン、ネルさーん!!」
ユーリ「ただいま戻りました!」
そう二人で元気よく答えると、ジンとネルさんは顔を見合わせて笑っていた。小走りで二人の元へ向かい、ユーリ君はジンの元へ、私は嬉しい衝動を抑えられずネルさんに抱きついた。
キリカ「ネルさん、ただいま!」
ネル「おかえり~!元気そうで何よりだわ!」
ジン「キリカちゃーん、ジンお兄さんにもそのただいまちょうだい!」
ユーリ「ジンさん、ただいまです!!」
そう言って、ユーリ君がジンさんに抱きついた。
ジン「お前のじゃねーよ!」
ユーリ「ふふっ!でも、僕とキリカさん、毎日抱き合ってますので間接的に抱き合っているようなものですよ!」
キリカ「!!?・・・。」
抱き合ってるって・・・!!
ジン「毎日・・・。」
ネル「抱き合ってるだって・・・!?」
ジン「おい、ユーリ!まさか、お前、移動中に・・・!!」
キリカ「うわああああっ!!違うから、違うから!!」
ユーリ君の『抱き合ってる』は、本当に純粋な『抱き合ってる』なんだ。
ユーリ「違わないですよ!僕たち、毎日抱き合ってるじゃないですか、ほら!」
キリカ「!!?・・・。」
人前は無理と思ったが、これで疑いが晴れるならと思い、ユーリ君の抱擁に堪える。すると、ジンとネルさんは『あー』と呆れんばかりの声を上げた。
ネル「今年で16になる男とは思えないわね・・・。」
ジン「この調子だと、前に話してたキス以上の関係になったとかいうのも嘘くさいな。」
ユーリ「嘘じゃないですよ!!僕は、ついにキリカさんの服を・・・!!」
キリカ「うわあああああああっ!!」
私が大声を張り上げると、さすがのユーリ君も会話を止める。信じられない・・・!!そういうことって、人に話したりするものじゃないでしょ!?
キリカ「ユーリ君のバカッ!!最低っ!!」
ユーリ「!!?・・・。」
キリカ「ネルさん、行こっ!!」
ネル「ふふっ!んじゃ、ちょっくら奥様をお借りするね!」
ユーリ「うわああああっ!!行かないでください、キリカさーーーん!!」
ユーリ君の止める声にも動じることなく、私はネルさんとリーネガイルの繁華街へ歩いて行った。ちょっとは反省してよ、もう・・・。