09 主張

翌日。早速、ショッピングモールのアクセサリーショップへ向かった。クリスマスシーズンなので、前来た時とは違うアクセサリーがたくさん店頭に出ていた。

ユーリ「悔しいですけど、すごくきれいです。この細かい装飾はどうやって施しているんでしょう?」

ユーリ君はいつのまにやら手に入れたルーペで商品を細かく見ていた。

キリカ「うわあっ!!そういうことは買ってからにしてよ!目立つから!」

ユーリ「!?・・・。でも、買っちゃいけないんでしょう?」

キリカ「うぅ・・・!!」

買ったとして私たちはいずれルカへ帰る身。持ち帰ることはできない。すると、やはり目立ってしまい店員さんがやってきた。

店員「しっかり見ていただいて大丈夫ですよ。」

キリカ「!!・・・す、すみません・・・。」

ユーリ「本当ですか!?ありがとうございます!」

ユーリ君は店員さんの厚意も理解せず、ルーペでアクセサリーを眺め出した。はあ・・・。

店員「ふふっ!今日はデートですか?」

キリカ「!?・・・え、あ、まあ・・・。」

恥ずかしかったのと、目立ってはいけない気持ち混ざり合い、曖昧に答える。もう一人のユーリ君はアクセサリーに興味はないって話だし、大丈夫だよね・・・。

店員「可愛い彼氏さんですね!」

キリカ「!?・・・あ、ありがとうございます・・・。」

照れながら返すと、後ろからユーリ君が突っ込む。

ユーリ「違います!夫です!」

店員「えっ!!?」

キリカ「ユーリ君!!」

私は『余計なことを言うな!』と言わんばかりにユーリ君をにらむ。さすがのユーリ君も、まずいことを言ったと気づいたみたいだ。

キリカ「気持ちの上では『夫』・・・そうだよね?」

ユーリ「!?・・・は、はい・・・。」

店員「ふふふっ!仲がいいんですね!うらやましいですぅ!ゆっくりご覧になってくださいね!」

キリカ「はーい!」

店員さんが離れたのを確認した後、ユーリ君に小声で忠告した。

キリカ「バルでは彼氏にしておかないとダメだよ!前も話したよね!?」

ユーリ「!?・・・す、すみません・・・。もうそろそろいいのかなって・・・。」

キリカ「ダメ!バルの男性は、18歳以上じゃないと結婚できないんだから。」

ユーリ「うぅ・・・!!・・・そんなに僕、大人っぽくみえないですか?ハルキさんやジンさんには敵いませんけど・・・身長だって伸びてるんですよ!?」

キリカ「身長は関係ない。目立った行動をとるのが問題なの!」

ユーリ「!!・・・す、すみません・・・。」

ちょっと言い過ぎたかな?ユーリ君はルーペをポケットにしまい、俯いてしまった。私だって怒りたくて怒ってるわけじゃないんだけどなあ・・・。

キリカ「またユーリ君と一緒に来たいから言ってるんだからね?」

ユーリ「!!?・・・。はい!」

嘘でしょと思えるくらい単純でありがたい。みるみるうちに彼の表情が晴れやかになっていく。

キリカ「ちょっとお手洗いに行きたいから、ユーリ君はここで待ってて!」

ユーリ「一人で大丈夫ですか!?」

キリカ「治安がいいから平気。あっ!お願いだから、その店から動かないでね?」

ユーリ「!?・・・は、はい!」

一人で見ていれば、しゃべらないからボロもでにくいだろう。私は気持ちゆっくりめでトイレへ向かった。

 

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