22 サプライズ

今晩、私たちの使っている部屋に泊まっていくことになった神永さんと御旗君は二人でディナーへ出かけ、私たちはハルキ君の部屋で行われたクリスマスパーティーに参加した。ユーリ君は「僕たちも二人きりでどこか行きましょうよ!」と駄々をこねだしたが、断った。ルカの自宅へ帰れば、二人きりの時間は飽きるほどある。今はバルにいるときにしか会えない人たちとの貴重な時間を楽しみたいのだ。

ハルキ「いつまでムスッとしてるんだよ。」

ユーリ「!!・・・してませんよ!」

ハルキ「君の独占欲の強さは相変わらずだね。キリカが浮気をするような女だと思ってるの?」

ユーリ「!!?・・・思ってませんよ!!でも、キリカさんに変な男が寄ってきたら困るじゃないですか!?」

ハルキ「変な男ね~・・・心外だな。」

ユーリ「!!・・・。」

料理を取り分けながら、聞き耳を立てて二人の会話を聞いていた。ユーリ君は少しずつハルキ君を信頼しはじめているが、やはり過去が過去なだけにすべてを信じているわけではないようだ。うーん、無理なんだろうなあ・・・私がハルキ君を好きだった過去を消せない限り。

ハルキ「まっ、変な男もたまにはいいってところを見せてあげるよ。」

そう言って、彼が指を軽快に鳴らすと部屋の照明が落ちた。この場にいる人はみんな何かのサプライズを暗黙の了解のように見守っていたが、ユーリ君だけは何が何だか分からず私の方へ駆け寄ってきて抱きしめた。

ユーリ「何が何でも僕がお守りします!!」

キリカ「えっ!?」

そうこうしているうちに、部屋の外から火の灯ったケーキがワゴンに揺られ、運ばれてくる。ハルキ君、まさか・・・!!

ハルキ「ユーリ、16歳の誕生日おめでとう!」

ユーリ「!!?・・・。」

ハルキ「びっくりした?バルでは生まれた人をお祝いする日なんだよ。」

ユーリ「!!・・・。」

ユーリ君はどうしていいか分からなかったのか、私の顔を見た。

キリカ「年の数分ささったロウソクの火を一気に吹き消すのがバル流のお祝いだよ。」

ユーリ「・・・・・・・。」

ユーリ君は抱きしめていた私の身体をゆっくり放し、キラキラした目でケーキを眺めた後、一気に吹き消した。同時に部屋の照明が戻り、みんなが拍手する。

スニケット「げっ!もう16歳かよ!見えねーな!」

ワタリ「おめでとう!これで晴れて、婚姻届が出せるね。」

ユーリ「ありがとうございます!はい!!・・・ルカに戻ったらすぐにでも!!」

そう言いながら、手を掴まれ照れる。もう・・・。

ハルキ「変な男たちとの付き合いも悪くないでしょ?」

ユーリ「はい!!・・・キリカさんは渡しませんけど!」

ハルキ「!?・・・。はいはい。」

私とハルキ君は顔を見合わせて笑った。16歳になっても、何歳になっても、ユーリ君はユーリ君なんだろう。でも、それでいい。それがいい。私は独占欲が強くて、甘えん坊で、やきもち焼きなユーリ君が好きなだから・・・。

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