19 真剣

その後、みんなで海浜公園に出かけたが、御旗君にクリスマスなんで二人きりで過ごしたいでしょう?」と切り出され、別行動なった。ダブルデートじゃなかったの?という疑問はありつつも、ユーリ君は大喜び

2時間後に再び合流したが、御旗君はやはり寒すぎたのか私服に着替えていた。夕方に差し掛かっていたのと、センターの人たちが見張っていることもあり、帰ることを促そうとしたが、御旗君から思いもよらぬ提案をされた。

シュウ「この後、近くのホテルでディナーを予約してますので行きましょう。」

御旗君にとって、このディナーこそが本題なのだろう。でも、この誘いを受けるわけにはいかない。センターの人たちは、御旗君にかなり危機感を抱いている。今まで入れ替わりのために人を連れてきてはあらゆる手段を使い、ルカの情報を守ってきた。でも、御旗君にその手は通用しない。彼はAIなので、例え命を奪ったとしてもルカの情報を消すことはできないのだ。

キリカ「えっと・・・私たちもホテルでディナーの手配がされてて・・・。」

シュウ「ああ、無抵抗な僕を誘拐して閉じ込めたあのホテルですね。」

キリカ「うぅ・・・!!」

なんて意地悪な子なんだ・・・。

シュウ「でしたら、こっちの予約はキャンセルして、僕たちもそちらでいただきます。」

キリカ・ユーリ「ええっ!?」

逃げられない・・・。今日で片を付けたいってこと?

メル「もー!いいでしょ!キリカたちも困ってるじゃない!!」

キリカ「・・・・・・・・・。」

御旗君の目は、神永さんに止められながらも私から視線を外さなかった。直感が言っている。もう逃げられない・・・。

キリカ「どうしたら信じてもらえるの?」

シュウ「あなたたちが何を隠してるのかも気になりますが、お互いのことを考え、控えましょう。ですが具体的な方法(生体反応を隠蔽する方法)を示してもらわないと、その方法が有効かどうかも検討がつきません。」

キリカ「!!・・・それは、ハルキ君が話した通り・・・!!」

シュウ「話せないのであれば、以前頂戴したお話はお断りします。」

キリカ「!!?・・・。」

恐れていたシナリオが展開しはじめ、血の気が引いた。

シュウ「隠蔽工作に僕とメルの記憶を消しても無駄ですよ?何重にもバックアップしてますからあなたたちの盗聴内容が抹消されることは99.9%ありません。」

キリカ「!!?・・・。」

ハルキ君・・・この子は脅しでどうにかなる相手じゃないよ。私たちに頼らなくたって、自分の力で未来を切り開く意志を持ってる。敵わない・・・!!唖然として言葉に詰まっていると、ユーリ君の手が触れた。

ユーリ「キリカさん。」

キリカ「!?・・・。」

ユーリ「僕には、彼の言ってることは全然分からないんですけど・・・メルさんと一緒にいたいという気持ちは伝わってきます!話してもいいと、僕は思います。」

キリカ「!!・・・ユーリ君。」

私は再び二人を見た。真剣な表情の御旗君と不安げに見守る神永さん・・・ユーリ君の言う通りかもしれない。私はルカのことばかり考えていたけど、この二人だって自分たちの『世界』を守るのに必死なんだ。

 

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