ユーリ君と甘い時間を過ごし、そろそろお風呂に入ろうかという流れになる。私はユーリ君に脱がされたセーターを着ながら、小さく返事した。もっと先だと思っていたが、ユーリ君が『本当のキス以上のこと』にたどり着く日も近いのかもしれない。・・・・・・。どうしよう。受け入れられる自信があると思っていたけど、いざ目の前まで差し掛かってると思うと不安だ。
ユーリ「じゃあ、入ってくるね!」
キリカ「うん。」
ユーリ君はニコッと笑って、部屋の扉に手をかけるが、ビクッとする。
キリカ「どうしたの?」
ユーリ「!?・・・い、いえ、僕の勘違いだと・・・。」
キリカ「??・・・。」
そう言って、ユーリ君は扉を慎重に開け、リビングの様子を窺うように覗く。・・・が、すぐに扉を閉め、私の方を向く。その表情は羞恥に満ちている。
ユーリ「キリカさん、大変です・・・。メルさんとシュウ君がその・・・キス以上のことしてて、リビングに戻れそうにありません!」
キリカ「ええっ!?」
ま、まさか・・・!二人は私たちが外出してると思ってるだろうし、いつ帰ってくるかも分からない状況で・・・うん、あり得ない!
キリカ「暗くて見間違えたんじゃないの?」
ユーリ「!!・・・。そんなこと言うなら、キリカさんが自分の目で確かめたらいいじゃないですか!!」
キリカ「!?・・・。」
そう言われては後には引けず、私はゆっくり部屋の扉を開けた。開けた瞬間、二人の喘ぎ声ともとれる熱い吐息が耳に入る。
メル「シュウ・・・!!んんっ・・・。」
シュウ「はぁ、可愛い・・・我慢できないんだ?」
メル「!!・・・ち、違っ・・・!?んんっ!」
シュウ「ふふっ!素直じゃないんだから!」
キリカ「・・・・・・・・・。」
声だけで分かる。これは完全に『キス以上のこと』をしてる。メル、大胆なところあるんだなあ・・・リビングでするなんて・・・。それとも、シュウ君に迫られて断り切れなかっただけ?
ユーリ「見ました?」
キリカ「!?・・・。う、うん・・・。」
見てないけど、見たってことにしておこう。
ユーリ「・・・・・・・・・。キリカさん、すみません・・・。」
キリカ「えっ!?」
な、なにが?
ユーリ「僕、女性の気持ちが分かってませんでした。だから、ジンさんは気づいて、忠告してくれたんですね。」
キリカ「!!・・・。」
これのこととは違うと思うけど・・・。
ユーリ「キリカさんは僕がするの、ずっと待っててくれたんですよね!?」
キリカ「!?・・・そんなことないよ。焦る必要は・・・!!」
ユーリ「いいえ!焦らせてください!僕は16歳になったんですよ!?彼にできて、僕にできないことはありません!!」
キリカ「うわっ!!」
押されるようにしてベッドに座ると、彼は私の着ているセーターの裾を掴む。
ユーリ「・・・もう一回脱がせてもいいですか?」
キリカ「!?・・・。」
もはや、頷くしかできず、脱がせられた後は中に着ていたシャツのボタンを外し始める。本気でするつもりなのかな・・・怖くて目をつむっていると、首元にキスの感触を覚えた。
キリカ「んっ!?」
ユーリ「!?・・・。キリカ・・・!!」
びっくりして声が出たのを私が喜んでると思ったユーリ君はどんどんキスを落としていく。恥ずかしくてよく見てなかったが、ユーリ君が真似してると考えると、メルとシュウ君は首にキスし合ってただけみたいだ。だとしたら、さすがに大げさじゃないかな?首だけであんな声を出・・・!!?
キリカ「んんっ・・・!!」
不意にユーリ君に首筋を舐められ、声が出た。いきなり舐めるとか反則だよ・・・!!
ユーリ「キリカさん・・・好き・・・大好きです!!」
キリカ「!!・・・ユーリ・・・!!」
お返しをするように、ユーリ君の首にキスした。
ユーリ「あっ!」
キリカ「!?・・・。」
彼はびっくりして身体をのけぞらせていたが、体勢を戻すと自らシャツの上部のボタンを外す。
ユーリ「この方が・・・しやすい・・・ですよね?」
キリカ「!?・・・。」
うんと返事する代わりに、ユーリ君の首にキスした。ユーリ君は気持ちよさそうな声を上げながら、負けずと同じ場所にキスを返してくる。こんなキスで満足しちゃうなんて、私もまだまだ子供なのかも。でも、それでいいんだ。二人で少しずつ大人になっていこうね、ユーリ君。