24 吐息

ユーリ君と甘い時間を過ごし、そろそろお風呂に入ろうかという流れになる。私はユーリ君に脱がされたセーターを着ながら、小さく返事した。もっと先だと思っていたが、ユーリ君が『本当のキス以上のこと』にたどり着く日も近いのかもしれない。・・・・・・。どうしよう。受け入れられる自信があると思っていたけど、いざ目の前まで差し掛かってると思うと不安だ。

ユーリ「じゃあ、入ってくるね!」

キリカ「うん。」

ユーリ君はニコッと笑って、部屋の扉に手をかけるが、ビクッとする。

キリカ「どうしたの?」

ユーリ「!?・・・い、いえ、僕の勘違いだと・・・。」

キリカ「??・・・。」

そう言って、ユーリ君は扉を慎重に開け、リビングの様子を窺うように覗く。・・・が、すぐに扉を閉め、私の方を向く。その表情は羞恥に満ちている。

ユーリ「キリカさん、大変です・・・。メルさんとシュウ君がその・・・キス以上のことしてて、リビングに戻れそうにありません!」

キリカ「ええっ!?」

ま、まさか・・・!二人は私たちが外出してると思ってるだろうし、いつ帰ってくるかも分からない状況で・・・うん、あり得ない!

キリカ「暗くて見間違えたんじゃないの?」

ユーリ「!!・・・。そんなこと言うなら、キリカさんが自分の目で確かめたらいいじゃないですか!!」

キリカ「!?・・・。」

そう言われては後には引けず、私はゆっくり部屋の扉を開けた。開けた瞬間、二人の喘ぎ声ともとれる熱い吐息が耳に入る。

メル「シュウ・・・!!んんっ・・・。」

シュウ「はぁ、可愛い・・・我慢できないんだ?」

メル「!!・・・ち、違っ・・・!?んんっ!」

シュウ「ふふっ!素直じゃないんだから!」

キリカ「・・・・・・・・・。」

声だけで分かる。これは完全に『キス以上のこと』をしてる。メル、大胆なところあるんだなあ・・・リビングでするなんて・・・。それとも、シュウ君に迫られて断り切れなかっただけ?

ユーリ「見ました?」

キリカ「!?・・・。う、うん・・・。」

見てないけど、見たってことにしておこう。

ユーリ「・・・・・・・・・。キリカさん、すみません・・・。」

キリカ「えっ!?」

な、なにが?

ユーリ「僕、女性の気持ちが分かってませんでした。だから、ジンさんは気づいて、忠告してくれたんですね。」

キリカ「!!・・・。」

これのこととは違うと思うけど・・・。

ユーリ「キリカさんは僕がするの、ずっと待っててくれたんですよね!?」

キリカ「!?・・・そんなことないよ。焦る必要は・・・!!」

ユーリ「いいえ!焦らせてください!僕は16歳になったんですよ!?彼にできて、僕にできないことはありません!!」

キリカ「うわっ!!」

押されるようにしてベッドに座ると、彼は私の着ているセーターの裾を掴む。

ユーリ「・・・もう一回脱がせてもいいですか?」

キリカ「!?・・・。」

もはや、頷くしかできず、脱がせられた後は中に着ていたシャツのボタンを外し始める。本気でするつもりなのかな・・・怖くて目をつむっていると、首元にキスの感触を覚えた。

キリカ「んっ!?」

ユーリ「!?・・・。キリカ・・・!!」

びっくりして声が出たのを私が喜んでると思ったユーリ君はどんどんキスを落としていく。恥ずかしくてよく見てなかったが、ユーリ君が真似してると考えると、メルとシュウ君は首にキスし合ってただけみたいだ。だとしたら、さすがに大げさじゃないかな?首だけであんな声を出・・・!!?

キリカ「んんっ・・・!!」

不意にユーリ君に首筋を舐められ、声が出た。いきなり舐めるとか反則だよ・・・!!

ユーリ「キリカさん・・・好き・・・大好きです!!」

キリカ「!!・・・ユーリ・・・!!」

お返しをするように、ユーリ君の首にキスした。

ユーリ「あっ!」

キリカ「!?・・・。」

彼はびっくりして身体をのけぞらせていたが、体勢を戻すと自らシャツの上部のボタンを外す。

ユーリ「この方が・・・しやすい・・・ですよね?」

キリカ「!?・・・。」

うんと返事する代わりに、ユーリ君の首にキスした。ユーリ君は気持ちよさそうな声を上げながら、負けずと同じ場所にキスを返してくる。こんなキスで満足しちゃうなんて、私もまだまだ子供なのかも。でも、それでいいんだ。二人で少しずつ大人になっていこうね、ユーリ君。

 

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