【再掲載】短編小説「みんなで殺せば怖くない」

短編小説を公開していたサービスが終了してしまいましたので、こちらに再掲載します。

「みんなで殺せば怖くない」は2015年に書き下ろした現代小説です。
15分~30分ぐらいで読み切れると思いますので、暇つぶしにどうぞ♪

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みんなで殺せば怖くない

大学生の江藤和香菜(えとうわかな)にとって、日々の生活をSNSにアップするのは、『身内に今日あった出来事を話す』ことぐらい日常的で当たり前のことだった。ほぼ毎日、彼女は大学であったことや、カフェで食べたスイーツや、自身のファッションコーデなどをアップしている。それをリア友や、ネットの知り合いがコメントを寄せたり、『いいね』を押したりして、投稿内容を評価する。両親が共働きで、一人っ子の和香菜にとって、誰かに存在を認められることは、嬉しくて、一人じゃないと思える瞬間だった。

 ネト充だが、リア充ではない・・・というのが口癖だった彼女にも、大学2年生になって春が訪れる。1年の時から片想いしていた佐々倉千暁(ささくらちあき)に思い切って告白し、付き合えたことだ。千暁は真面目で朗らかな青年であるが、とりわけ容姿が良いわけでも、社交的というわけでもなかった。強いて言うなら、彼はごくごく普通の大学生に比べおしゃれだ。くしゃくしゃっと軽めにかかったパーマに、有名メンズブランドのパーカー。そして、ボトムはお気に入りなのか股下が深すぎないサルエルパンツが多い。全体的にゆるい感じで、よく見ると細かいチョイスがおしゃれだというのも彼女の興味を惹いた。それはまるで、発掘した石の中から見つけた原石との出会いに近い。和香菜は見た目こそ、SNSにアップするため力を入れているが、根は地味。無意識に同じような雰囲気の人を求めていたのかもしれない。

 昼過ぎの講義中。窓の外の新緑が太陽の光でキラキラして綺麗だなと思った和香菜は、講師の目を盗んで携帯で写真を撮った。『講義室からの新緑がキレイだにゃ~(*’▽’)』早速、SNSに投稿だ。投稿し終え、誰か反応してくれないかなと満面の笑みでスマホの画面を見ていると、隣にいた和香菜の友達の小野田すみれが呆れていた。

「ここまで重症だと、和香菜はどっちがリアルか分からないね」

長い髪を指で巻きながら言うすみれに、和香菜は首を傾げた。

「どういう意味?」
「そのまんまの意味だよ。まるでSNSにアップするためにリアルがあるみたい」
「え~!そんなことないよ!」

和香菜は苦笑いで返しながら、おとなしくスマホをしまった。SNSにアップするためにリアルがあると言うすみれは、和香菜が千暁と付き合っているのをまだ知らない。SNSでも『好きな人がいるけど、告白ができないよぉ~』『絶対フラれちゃうからやめようかなぁ』と好きな人の存在を公表している彼女だが、彼氏ができたとは一切報告していないからだ。それは・・・彼氏・佐々倉千暁のSNS嫌いが起因する。告白したその日も、和香菜が千暁に「告白が成功したって、SNSで報告してもいい?」と尋ねると、「俺、プライベートさらされるの無理だから」と一蹴されてしまったのだ。和香菜は、千暁に嫌われたくないのも相まって、どこまでがダメなのか、ただ彼氏ができたと言うだけでも無理なのか・・・それすらも聞けずにいた。すぐに聞いてしまえばいいとも思うのだが、和香菜にとって千暁は初めての彼氏。ネットでは大胆な彼女も、初めての恋愛にはことさら慎重だった。

 講義が終わり、和香菜とすみれは片付けながら、人が少なくなるのを待っていた。和香菜もすみれも、人ごみにもまれながら移動するのが嫌で、大講義室での講義終わりはいつもそうしていた。この待ち時間、すみれはスマホを触っていて、和香菜は遠くにいる千暁を目で追う。千暁は仲のいい友達と笑いながら、大講義室を出ていく行列に並んでいた。和香菜と千暁はお互いに親しい友達がいた。和香菜にはすみれ、千暁には今彼の隣にいる男子に違いない。そのため、大学では友人関係を優先することにしていた。付き合いたてのカップルにしては、少し寂しい気もするが、友達のことも考えている彼を和香菜はかっこいいと思っていた。惚れた弱みかもしれない。じーっと見てると、千暁の視線が彼女に向けられ、ピタリと合った。お互い顔を真っ赤にさせ、反射的に顔を逸らしたが、程なくして微笑み返した。彼女は、遠くにいても彼と意識し合っていることが分かるだけで嬉しかった。
 その時、大講義室のマイクから彼女の名前が響く。

 「江藤和香菜さん!」

 和香菜は意表をつかれたように、前を見た。すると、教壇の前にマイクを持った飯塚拓斗(いいづかたくと)がこちらを見ていた。飯塚拓斗は、和香菜と同じ法学部の男子であり、千暁とは正反対の社交的なイケメン。少女漫画から切り出したような綺麗な瞳が印象的で、ジレやベストに7分丈のカーゴパンツを合わせるコーデが多い。ジレは失敗するコーデとして名高いが、拓斗の場合、持ち前の容姿があるため普通に着こなしている。飯塚拓斗は緊張した面持ちで続ける。

 「もし良かったら、俺と付き合ってください!!」

 拓斗の言葉に、騒々しかった大講義室内の空気がピンと張りつめ、みんなが和香菜に注目した。恥ずかしさと、緊張と、恐怖で狼狽えそうになる。すると、後押しするようにすみれに背中を叩かれた。

 「どうするの?答えないと」
 「う、うん・・・そうなんだけど・・・」
 「私が代わりに答えようか?おっけーでーすって!」
 「!!?・・・やめてよ!」

 紛らわしいことをしないでほしい、と彼女は思った。なぜなら、この様子を千暁も見ているのだ。恥ずかしくても、ちゃんと大きな声で断わらなければならない。それに、千暁だけには誤解されたくなかった。和香菜は震えながら、なんとか立ち上がり、思い切って叫んだ。

 「ごめんなさい!」

 この一言を言うだけで精一杯だった。彼女は言い終えると、すぐに座り込んで俯いた。SNSにアップする絶好のネタではあるが、さすがの彼女もこのことを投稿する気分にはなれない。大講義室のサプライズ告白の結末を見届けると、学生たちは興味が冷めたように張りつめた空気を緩ませた。しかし、すみれだけは「嘘、なんで!?」と和香菜が拓斗の告白を断ったことが腑に落ちない様子だった。女子がみんな、イケメンを好きなわけじゃないのに・・・と彼女は思ったが、返す気にはなれなかった。

 講義が終わって、自宅マンションへ帰ると、千暁からメッセージが届いた。

 『飯塚君には悪いけど、嬉しかった』

 見た瞬間、彼女の心拍数が上がった。千暁に嬉しいと言われたのは、これが初めてだった。告白した時は『嬉しい』ではなく『俺でいいの?』だったし、手をつないでも顔を赤くするだけで何も言ってくれなかった。和香菜はすぐに返信せず、千暁のくれたメッセージの余韻にひたっていた。気分よく、鼻歌を歌いながら、誰もいないリビングのソファにカバンを置く。ダイニングテーブルには『カレーをあっためて食べて。今夜も遅くなりそう。ママ』と走り書きしたメモ書きが置いてあった。いつもは「またカレー・・・」と不機嫌になる和香菜だが、今日は気分がいいので全く気にならない。喉が渇いたので、冷蔵庫からミネラルウォーターを出して、コップに注いだ。途中で、和香菜のスマホの通知音が鳴る。彼女は水を一気に飲み干すと、急いでスマホの通知をチェックする。SNSからのコメント通知だ。

 『こいつ、講義中に写真撮ってやがるwww』

 今日、講義中に撮った新緑風景に心無いコメントがされていた。嫌な汗が出て、嬉しい気分は一気に冷める。なんで講義中って分かったんだろう・・・同じ大学の人?私が撮影するとこ、見てたのかな・・・。和香菜が不審に思っていると、さらに通知が届いた。

 『これ店内ですよね?商品の撮影許可とってますか?』

 今度は数週間前に撮った写真つき投稿にコメントがついていた。しかし、さっきとは全く別の人だった。確かに店内の撮影だけど、この商品は購入したんだし、いいじゃない・・・フォロワーでもないのに、いちいちうざいなあ・・・。彼女は苛立ちながら『店内ですが、購入したものです。』と返信した。しかし、彼女からの返信があったせいか、コメントしたユーザーは『店内撮影の許可はとったんですか?』と返し、その他の写真にも細かくダメ出しをしてきた。それはまるで、重箱の隅をつつく小姑のようでもあり、道端で偶然ぶつかってしまった質(たち)の悪いお兄さんのようにも感じた。和香菜は、対応するのが面倒になり、コメントしたユーザーをブロックした。
 とりあえず、これで大丈夫だろう・・・和香菜はまた妙な輩に絡まれたくないと思い、先ほど指摘を受けた写真を削除した。しかし、10分後・・・また別のアカウントからコメントが返ってくる。

 『消せば済むと思ってるんですかあ?消せば何もかも許されるんですかあ?』

 和香菜は、思わずスマホを落とした。なんで、ここまで言われなくちゃいけないの?確かに講義中に写真撮ったり、店内で撮影したりはよくなかったけど・・・お店の人でもないのに、ここまで言われる筋合いないし!彼女は、このユーザーもブロックした。

 しかし、ブロックしても、しても、しても・・・和香菜のSNSへの批判は相次いだ。数日経てば終わると思っていたが、収束の一途をたどるどころか、日に日に過激になる一方だ。今までの和香菜にとって、コメントの通知音は『幸せの効果音』だった。しかし、今はもう・・・恐怖でしかなくなってしまい、通知自体を切ってしまっていた。
 2週間後。大学を休みたいと言い出した和香菜を心配して、千暁が彼女の家にやってきた。彼女は、いきなり始まった批判の嵐と、自分の生きる活力であるSNSを奪われ、精神的に滅入ってしまっていたのだ。なんとか、千暁にSNSが原因で大学を休むと悟られないよう、彼女は気丈に振る舞うが・・・風前の灯。千暁が本題に触れると、彼女の火はあっさり立ち消え、わんわん泣きだしてしまった。

「もう大学に行きたくない・・・。消えちゃいたいよ・・・!!」

 和香菜は、ソファに座る千暁の膝にすがるように泣きついた。落ち込んでいるとは思っていたが、まさかここまで深刻だとは考えてもみなかったようで・・・千暁はかける言葉に悩んでいた。数分経って、彼は和香菜の背中をさすりながら、落ち着いた声で窺(うかが)う。

「俺は何を聞いても、和香菜の味方でいるから全部話して?」

 そう言われても、和香菜には躊躇いがあった。彼はSNS嫌いだ。こんなことで悩んでるのかと一蹴されるかもしれない。

「千暁君の嫌いな・・・SNSのことだよ。それでもいいの?」

 千暁はふっ、と笑う。

「SNSの『嫌い』より、和香菜を『好き』の方がはるかに上だよ」

 千暁は優しい表情で、和香菜の頭を撫でた。彼女は嬉しくて、彼に抱きついた。もっと早く相談すればよかった、と彼女は思った。

 和香菜は一通り事情を話し、SNSに寄せられた批判を千暁に包み隠さず見せた。千暁は黙って見ていたが、徐々に表情が青ざめていく。

「どうして、もっと早く相談してくれなかったんだよ!」
「!!・・・ごめん。千暁君に嫌われたくなかったから・・・」

 千暁に強く言われ、和香菜が涙ぐむと、彼はそれ以上彼女を責めなかった。逆に、思わず大きな声を出した自分責めるように膝を叩く。

「いや・・・俺の方こそごめん。こんなことになってるとは知らなくて・・・」
「!!?・・・千暁君は悪くない!!・・・悪いのは全部私・・・私なんだよ!!」

 また泣き出す和香菜を千暁は支え、肩に手をかけた。

「今すぐ和香菜のSNSは非公開にしよう。なくなってしまえば、こいつらも叩きようがないんだし」
「!?・・・うん」

 和香菜は千暁の勧めで、SNSを非公開にした。でも、もう公開することはないだろう。SNSで酷い目に遭ったからという理由が一番大きいが、それだけではない。千暁が話を聞いてくれる、存在を認めてくれる、好きだと言ってくれる・・・SNSをすることで補填してきた愛情を彼が与えてくれると彼女は気づいたんだ。

 和香菜のSNSが非公開となり、批判する場はなくなったかと思われた。しかし、和香菜がアップしていた写真はすでに不特定多数のネットの住民に出回り、確保されていた。非公開にしても、悪さをする奴らには不可抗力でしかなかったのだ。しかも、和香菜はファッションコーデをアップしたり、大学風景をアップしたりしていた・・・和香菜のSNSが親しい友人以外にも『和香菜』だと特定されるのはあっという間だった。

そう・・・SNSという批判の舞台が、大学の裏掲示板に移っただけに過ぎなかったのだ。
 
このことに先に気づいたのは、和香菜だった。和香菜はSNSを非公開にしたものの、度々怖いもの見たさでエゴサーチしていたのだ。そして、大学の裏掲示板の存在に気づき、自分がアップした写真はもちろん、身に覚えのない写真までアップされていることを知った。身に覚えのない写真は、すべて盗撮だった。中には和香菜の実際の住所を投稿したり、着ぐるみと顔写真を加工させて、吹き出しからは『法学部だけど、法律のことよくわからなーい!』と揶揄されたのもまであった。これを見た和香菜は、リビングで悲鳴を上げ頭を抱えた。消しても、消しても、消しても・・・叩く人が消えない。こんな写真が出回っていたら、就活をしても、どこからも内定をもらえないだろう。友達も逃げていくだろう。現に、すみれはSNSでの批判が酷くなったあたりから、距離を置いたっきりだ。ネットではまだ千暁が彼氏だってバレていないが、時間の問題だろう。
 でも、どうしたらいいか分からなかった。彼女は法学部なので、SNSでのトラブルを立証するのが難しいのも、調査するのに莫大な費用がかかることも知っている。それに、和香菜の家は共働きだ。莫大な費用どころか、和香菜の大学費用を払うだけで精一杯だった。もう嫌だ・・・本当に消えちゃいたいよ・・・。彼女がソファで人生を悲観していると、ドアが開く音がした。ハイヒールの音がしたので、ママだろうと和香菜は察しがついた。いつもより早い帰宅だった。ママに相談したほうがいいのかもしれない・・・。和香菜はソファを立ち上がり、ママを出迎えようとリビングの扉の前へ歩いてく。勢いよく扉が開き、和香菜はすぐママに話しかけた。

 「おかえり、ママ。あのね・・・」

 和香菜がそう言いかけた声をかき消すように、ママは溜まっていた怒りを彼女にぶつけた。

 「和香菜!!大学の先生から連絡があったわよ!!講義中に盗撮したり、大学の先生の誹謗中傷をSNSに書き込んでるんだって!?ママ、それ聞いてびっくりしちゃったわよ!!」
 「!!?・・・。」

 盗撮なんかしてない・・・私が撮ったのは、窓の外の新緑だよ?大学の先生の誹謗中傷なんて書きこんだ覚えないよ!!彼女はあらぬ濡れ衣を着せられ、狼狽しながらも首を振りながら反論する。

 「違う!!私じゃない!!聞いて、ママ!!あのね・・・!!」
 「事実と違うとか、違わないとか・・・ママね、そんなことはどうでもいいの!」

 え・・・。どうでもいいの?和香菜は、頭がクラッとした。娘が本当に犯罪を犯していたのかどうかは、どうでもいいの?そんな彼女の様子も気に留めず、ママは続ける。

 「さっき検索したけど、掲示板にうちの住所まで晒されてるじゃない!!和香菜には分からないかもしれなけど、社会に出たらこういうことで職を失ったり、左遷されたりするのよ!!ママとパパがお仕事できなくなっちゃったら、和香菜だって大学通えなくなるのよ!?分かってる!?」

 間髪入れず、一気に言われ、和香菜の目から涙が溢れた。ねぇ、ママ・・・私、もう大学生だよ・・・通ってるの法学部だよ・・・それくらい分かってるよ・・・。いつまでも子供じゃないよ・・・。一体、何歳だと思ってるの?喉元まで出かかったが、言えなかった。和香菜は、両親が自分を大学へ行かせるために頑張って働いていることを知っている。

 「ほらー!!あなたって子は、泣けば済むと思って!!」

 ママが何気なく言った一言が、SNSで嫌というほど見た書き込みとダブる。

 『消せば済むと思ってるんですかあ?消せば何もかも許されるんですかあ?』

 消せば済むとも、泣けば済むとも思ってないよ・・・。どうしたらみんな分かってくれるの?許してくれるの?・・・・・・。・・・あ、そっか・・・私自身が消えちゃえばいいんだ。私が消えちゃったら、みんなさすがに叩けないよね・・・。私が、全部全部、悪いんだもん・・・。

和香菜はママの言うことを無視して、窓を開け、ベランダの手すりによじ登って飛び降りた。8階だった。

 『今日夕方5時頃、○○市△△区のマンションで女子大学生の江藤和香菜さん(19)が8階の自宅から飛び降り亡くなりました。警察の調べによりますと、和香菜さんは数か月前からネットで相次ぐ批判に悩んでおり、いじめが原因による自殺ではないかと見て捜査を進めています。』

 千暁が和香菜の死を知ったのは、バイトから帰って来た後、遅めの夕食を食べながら見ていたTVニュースだった。持っていた箸が落ちて、手が震えた。彼はいてもたってもいられず、財布とスマホだけ持って、和香菜の家へ向かった。
彼女が命を絶ったマンション近くには、夜10時過ぎでも警察と報道陣がいた。彼が警察に和香菜の両親に会いたいと告げると、警察はいじめの主犯格を疑うかのような眼差しで名前を尋ねた。彼は、「和香菜の恋人です」ときっぱり答えた。すると、いくつか聞きたいこともあるので、署へ送っていこうと30代前半ぐらいの捜査員の男が名乗り上げた。
 車内では、定例的なお悔やみの言葉の後、和香菜との関係や、彼女がネットでいじめを受けていたことを知っていたか、彼女を批判する人間に心当たりはあるか・・・など一通り聞かれた。千暁はすべて正直に答えた。その後、捜査員は捜査資料を見直しながら質問を続ける。

 「非公開設定にされていた彼女のSNSに好きな人の存在をうかがわせる投稿はありますが、はっきり彼氏と明言したものがありません。どうしてかご存じですか?」

 彼は驚き、なぜ投稿しなかったんだろう・・・と考えた。自分のプライベートを晒されるのは嫌だと言ったが、彼氏がいると言ってはいけないとまで言った覚えはないのに・・・。捜査員が怪しむように窺ってくるので、彼は何か答えないとと思い、慌てて答えた。

 「僕がSNSを嫌いだと言ったので、気にして書き込まなかったんだと思います」

 捜査員は「なるほど」と一言いって、自身の手帳に書き込んだ。千暁はなんとなく犯人だと疑われているような気持ちになったが、それでもよかった。付き合っていたのに、和香菜の苦しみに気づいてあげられなかった自分も、犯人なのかもしれない。彼は、自分を酷く責めていた。

 和香菜の両親は、警察署の霊安室の前にいた。和香菜の母親が魂が抜けたのかのようにパイプ椅子に座り、憔悴しきっている。父親は、こんなときでも仕事があるのだろう・・・霊安室から離れた窓際で、電話をしていた。彼は和香菜の母親に頭を下げる。憔悴しきっていた母親も、彼の存在に気づき、「あなたは?」と今にも消えそうな声でたずねてきた。

 「和香菜さんと同じ学部の佐々倉千暁と申します。和香菜さんとお付き合いしていました。」

 千暁がそう言うと、和香菜の母親の目に光が宿った。希望ではなく、憤りの目だ。母親は、千暁の肩を左手で掴み、右手で彼の胸板を叩く。

 「あなた、和香菜と付き合ってたのに、なんで気づかなかったの!?どうして支えてくれなかったの!?」

 ドス、ドス・・・何度も重く叩く彼女の母親の手に、千暁の胸が痛んだ。ナイフで何度も刺されているような気分だった。なんで気づかなかったの・・・その通りだと思った。どうして支えてくれなかったの・・・その通りだと思った。和香菜のSNSを非公開にして、すべてが終わる、快方に向かうと信じ切っていた。彼は、そう信じ切っていた過去の自分を恨んだ。
 途中で、和香菜の母親が叫ぶ声に気づき、慌てて彼女の父親がこちらへ駆け寄ってきて止めに入った。

 「何を馬鹿なことを!辛い思いをしてるのは彼も一緒だろう!・・・すみません。家内はこの通り、混乱していて・・・どうか許してください」

 思いの外、彼女の父親は冷静だった。悲しくないわけではないが、家内が狼狽えて何もできない以上、自分がしっかりしなければならないと気丈に振る舞っているようにも見えた。父親に言いすくめられると、母親は父親の胸で泣き出した。

 「分かってるの・・・彼が悪いわけじゃないの・・・悪いのは全部私なのよ!!私が、あの子の気持ちを聞こうとせずに、責め立てたから・・・!!」

 『悪いのは全部私なのよ』・・・その言葉を聞いて、千暁は和香菜の母親らしい言葉だと思った。彼女も、ネットで必要以上に叩かれた原因は、自分が悪い事をしたからだと、責めていた。・・・・・。ふと、自分の存在が彼女の母親を追い詰めないか不安になる。

 「いきなり押しかけてすみませんでした。今日のところは帰ります。」

 彼は和香菜の両親に一礼して、立ち去ろうとした。しかし、すぐに彼女の父親に止められた。そして、母親をパイプ椅子に再び座らせると、少し離れたところで話し始めた。

 「君は、和香菜がネットでいじめを受けていたことを知っていたのかい?」

 知っていたと答えたら、殴られるかもしれないと思ったが・・・それでもいいと思って、歯を食いしばりながら彼は答える。

 「はい」

 しかし、父親は「そうか・・・」と答え、宙を見た。殴りかかる気配はなさそうだ。父親は続ける。

 「どのくらい付き合っていたんだね?」思いも寄らない質問に、千暁は慌てて答える。
 「4カ月ぐらい・・・です」
 
 「そうか・・・」と言って、また父親は宙を見た。まるで、そこに和香菜がいて、彼女の意志を尊重して言葉を選んでいるかのようだ。

 「難しいとは思うが・・・和香菜のことは忘れてくれ。忘れて・・・残りの大学生活、悔いのないようにな」

 嘘だ、と千暁は思った。本当は、忘れてほしくない、ずっと覚えててほしいと言いたいが、自分の今後を気遣って言ってくれたに違いない、と。千暁は「忘れません」と答えたかったが、それすらもこの両親を責める言葉にならないか、考えた。娘が自殺して、その彼氏の人生までも不幸にしてしまった・・・二重の苦しみを背負わせてしまっているのではないか、と。
 彼は何も言わず深々と一礼し、その場を去った。後で、霊安室に眠る和香菜の所へ行っていないと思い出したが、戻る気になれなかった。8階から飛び降りての自殺。損傷もひどいに違いない。彼は、自分の中で笑っている和香菜のイメージを崩したくなかった。

 和香菜が自殺したのをキッカケに、ネットの住民たちは態度を翻していた。ネットはまだまだ責任のない社会である。コラ画像を作って追い詰めていた人も、実際の住所をアップした人も、友人を特定して顔写真を晒した人も、彼女が自殺したと分かれば、途端に痕跡を消して、「お前らが叩きすぎるから、こうなるんだよ!人殺し!」とまるで自分には全く非がなかったように振る舞うことができる。また、少なからず罪の意識を感じて自白するものもいた。

 『みんな叩いてるし、いいかなという軽い気持ちだったと思う。本当にごめんなさい。』

 でも、こういう発言は一番危険な行為だ。こいつを叩けば、正義のヒーローにでもなれると勘違いしたユーザーや、新しいターゲットが出てきたと喜ぶユーザーの格好の餌食だ。

 『謝れば済むと思ってるんですかあ?亡くなった人は戻ってこないんですよ?分かってますかあ?』
 『こんなところで謝ってないで、遺族に謝罪に行けよ』
 『適当に謝って許されたいんですよね。分かりますww』

 あっという間に炎上した。そして、数十時間後に叩かれたアカウントが削除された。こういうことは、今のSNS社会では日常茶飯事だ。

警察は和香菜の自殺をネットいじめによるものと判断したが、いじめの主犯格の名前が挙がってくることはなかった。警察も他殺となれば、犯人を追及するのだろうが、自殺となると扱いは冷たい。いや、冷たいというのもこちら側の勝手な言い分なのだろう。犯罪は数えきれないほどあり、税金で賄われている。犯人がいない事件にお金をかけて捜査しろというのも傲慢なような気もした。・・・・・・。もう、自分で調べて明らかにするしか方法はないのだと千暁は思った。

千暁はSNS嫌いだったが、和香菜の死をキッカケに目を通すようになっていた。誰が和香菜をいじめていたのか、正体を突き止めたかったからだ。でも、追えば追うほどに容疑者の数が膨大であることを知る。大学関係者だけでなく、全く関係のない人たちまで和香菜の『叩き』に参加していたからだ。しかも、裁判沙汰にしようとしても、和香菜の使っていたSNSの履歴を開示請求できるのはせいぜい2か月前までらしい。和香菜のいじめの発端となった『叩き』が始まったのは、千暁と付き合いたての頃・・・すでに4カ月が過ぎていた。
 何か突破口はないものか・・・そう考えた時、彼には1つの疑問が浮かんだ。なぜ、和香菜はあそこまで叩かれなければならなかったのか・・・だ。店内の無許可での商品撮影、講義中の写真撮影、その他にもルールを破ったものはいくつかあるが・・・どれも『そこまで?』と思えるものばかりだった。不可解な謎はそれだけではない。和香菜がSNSをはじめたのは小学生の時からで、フォロワーも多くはない・・・誰かが今になって、故意に和香菜を『叩き』のターゲットに祭り上げたとしか思えないのだ。そう考えていくと・・・千暁には一人だけ心当たりがある人物がいた。和香菜が落ち込みだした時期にあった出来事・・・そう、飯塚拓斗の大講義室でのサプライズ告白だ。あれ以来、和香菜と拓斗に接点はなかったが、もしかしたら彼がフラれた腹いせに和香菜のSNSに批判を寄せたのかもしれない。千暁はスマホを手に取った。

3日後。千暁はキャンパスの中庭で拓斗から話を聞けることになった。証拠となる証言をするかもしれないと思い、ボイスレコーダーもポケットに忍ばせた。しかし、千暁が「江藤さんのことで・・・」と切り出すと、拓斗は辟易した様子で「俺だって被害者なんだ!」と訴えてきた。拓斗の話によると、彼が和香菜にサプライズ告白をした日と、和香菜のSNSに批判が集中した日が同日だったことから、彼がやったんじゃないかと大学の裏掲示板で噂になったことがあったらしいのだ。

 「フラれてSNS批判してたら、俺だって言ってるようなもんじゃん!そんな馬鹿じゃねーっつーの!」

 千暁だけでなく、警察にも同じようなことを聞かれたらしく、拓斗は相当苛立っているようだった。この時、自分と同じように考え、警察も動いていたのかと思うと、所詮自分にできることは警察と同レベルまたはそれ以下のことでしかないのかもしれないと彼は思った。千暁が俯いていると、拓斗は言い過ぎたかと思ったように、謝った。

 「悪い!同じようなこと何度も訊かれて、イライラしてた」
 「いや、俺の方こそ・・・そうとは知らずにすまない」

 お互いに謝ると、少しの間沈黙した。警察の捜査も入ってるし、拓斗の言う通り、フラれてSNS批判したら疑われることぐらい察しがつくだろう。彼はポケットの中に入っていたボイスレコーダーの録音を切った。

 「急に呼び出してごめんな・・・話してくれてありがとう」

 彼はすぐに立ち去ろうとしたが、拓斗に「あのさ!」と呼び止められた。千暁が振り返ると、拓斗は首を傾げながら言う。

 「佐々倉、江藤さんの友達?まさか親戚!?・・・なわけないか!」

 拓斗は自分でツッコミながら頭を掻いた。なぜか拓斗の口からは、『彼氏』の候補は出てこなかった。それは、千暁自身もなんとなく察していた。和香菜は極度のSNS好きだったが、明るくて、可愛くて、モテる女子だ。ルックスも、社交性もない自分が彼氏だとは想像もつかなかったのだろう。千暁は自嘲気味に言った。

 「和香菜の彼氏だよ」

 拓斗は目をぱちくりさせながら、「え・・・ええ!!?ええええええー!!?」と叫んだ。千暁が予想した通りの反応だった。

 「不釣合いだよな。分かってる。和香菜から告白された時の俺も内心そんな感じだった」
 「・・・・・・・。あ、いや・・・。」

 拓斗は頭を抱えながら、「ははは・・・」と壊れたおもちゃのように笑っていた。千暁が和香菜と付き合っていたのが余程ショックだったのか、拓斗の現在の心境が、彼にはいまいちつかめなかった。

 「悪い悪い・・・なんつーか、その・・・これは誰にも言わないで欲しいんだけどさ・・・」拓斗は頭を掻いて、顔を真っ赤にしながら続ける。「あの日の告白・・・俺的には100%上手くいくと思って、告白したんだよ」
 「ええ!?」

 意味が分からなかった。和香菜と俺は付き合っていたし、100%フラれるならまだしも、100%上手くいくって・・・。要するに、拓斗のルックスを持ってすれば、相手に彼氏がいようがいまいが関係ないということか?千暁の頭の中で、疑心と苛立ちが渦を巻く。

 「江藤さんのSNSを前から知ってて・・・好きな人のこともけっこう書いててさ・・・友達に見せたら、絶対に俺のことだって言うから思い込んでて・・・。」
 「なっ・・・!!」

 拓斗の思いも寄らぬカミングアウト以来、千暁は彼と意気投合した。拓斗もいじめを仕掛けた人間じゃないにしろ、自分のせいかもという不安が残っているため、和香菜を『叩き』の舞台に祭り上げた犯人を一緒に探したいと申し出てくれたのだ。この日も講義が終わった後、拓斗から話があると呼ばれていた。拓斗は恥ずかしそうに「参考になると思うし、お前は目を通したほうがいい」と自分のスマホを見せてきた。そこには、彼女のSNSのスクリーンショットが何枚か保存されていた。彼女が自分に好意があるかを、友達に確認してもらうために何枚か撮っておいたのだという。千暁は少しだけ拓斗が気持ち悪く感じたが、そっと胸の中にしまった。彼は、拓斗のスマホ画面に映る彼女のSNSに目を通す。

 『どうしよう・・・恋に落ちちゃったかも!!!!リアルで胸キュン♡なんて久しぶりだよぉ(*ノωノ)』
 『今日も会えた!講義中に頬杖ついてる横顔が超かっこいいんだぁ( *´艸`)』
 『彼女いるのかなあ?かっこいいし、いるかもしれない・・・でも見てるだけで幸せ♡♥♡』
 『うーんとね、さわやか系!いっつもクールなんだけど、たまに笑うとギャップで死ぬっ(●^o^●)』
 『好きな人がいるけど、告白ができないよぉ~(ノД`)・゜・。』
 『壁ドンと顎くいされたい・・・(*ノωノ)』
 『告白してフラれちゃうぐらいなら今のままのがいいかなぁ?傷つきたくないよぉ・・・。』
『絶対フラれちゃうからやめようかなぁ。。。。』

 読んでて、自分のことだと思うと彼は赤面せずにはいられなかった。今になって、和香菜が本気で好きでいてくれたんだと実感が湧いてくる。湧いてくればくるほど、悔しく・・・その悔しさは彼の中で、徐々に怒りや憎しみへと姿を変えていく。

 和香菜の死から2か月後。拓斗の人脈を駆使して、飲み会が開催された。提案したのは、意外にも千暁だった。お酒が入れば、何かしゃべるかもしれないし、主犯格の正体も分かるかもしれないと思ったのだ。この日も、何食わぬ顔でポケットに忍ばせたボイスレコーダーのスイッチを入れる。前は、拓斗の証言を録音するだけでも罪悪感に駆られる気持ちがあった彼も、今はさほど感じなくなってきていた。犯人は顔も名前も晒さずに和香菜を自殺に追い込んだのだ。そんな奴相手に手段を選ぶ必要はない・・・というのが彼の今の考えだった。
 飲み会には40人近く出席していた。1時間ぐらい経つと、徐々に酔いが回ってきはじめ、千暁は頃合いを見て和香菜の話題を振った。

 「江藤さんの自殺、ショックだったよな・・・みんなどう思う?」

 千暁に話題を振られた人たちは、今まで笑い転げていたのにピタリと止んだ。酔っていてもさすがに人の死を持ち出されると、軽く扱うのを躊躇うのが窺えた。

 「ニュースで見たけど、ネットに誹謗中傷書かれまくってたんだよね・・・本当、許せないよ・・・。」

 近くにいた眼鏡をかけた女子が言った。それに続き、隣にいた天パの男子が口を開く。

 「誹謗中傷をネットに書き込む奴らの気がしれないし・・・そいつらが何も制裁を受けずに今もまた誰かの誹謗中傷を書き込んでると思うとやるせないよ」

 千暁は「だよな・・・」と相槌を打った。聞き出すのは作戦の一つなのだが、自分と同じ気持ちを持つ人たちがいると知ると、傷口に塗り薬を塗るように癒された。その時、急に拓斗が彼の背中にのしかかってくる。

 「けどさ、誹謗中傷書き込まれたぐらいで死んでたら、今の時代生きていけねーぜ!?・・・こう言っちゃなんだけど、自業自得だとも思うよ」
 「なっ・・・!!お前・・・!!」

 千暁は不快感を露わにして、拓斗を見たが、彼はこちらを見てウインクした。そして、後ろから千暁に耳打ちする。

 「犯人がいたとしたら、江藤さんを『叩く空気』にのってくるはずだ。まずは餌でおびき寄せってね」

 サプライズ告白といい、思い込みといい・・・拓斗はさほど頭がよくないと思っていた彼だが、この一言を聞いてイメージが変わった。急に飲み会を開いて、これだけの人を集めてしまうぐらいだ。持前のコミュニケーション能力だけでなく、話運びも上手く思えた。
 拓斗の企んだ通り、和香菜の自殺をめぐる論争はヒートアップしていた。最初は、彼女に擁護的な意見が多かったが、拓斗が反対意見を出し続けると、次第に形成が変わっていく。

『どうして誰にも相談しなかったんだ?』
『注意が誹謗中傷になったら、誰も何も言えなくなる!』
『自殺したって何の解決にもならないのに・・』
『法学部に通ってて、あの投稿の仕方はない』
『悪いことして、非難されたら死ぬって・・・ちょっとね・・・』
『可愛かったけど、SNS依存すごいらしいし、本人の性格にも問題あったんじゃない?』
『つか、親が無能すぎ!あれだけ娘が叩かれてるのに気づかないとかさ!』

 拓斗の言っていた『叩く空気』が確かに存在していた。声の掲示板を見ているような気さえした。千暁は吐き気がした。和香菜がどれだけ苦しんでいたか知らないのに、適当なことばかり・・・彼は履いていたサルエルパンツの裾絞り部分を力強く握りしめ、怒りを押し殺した。
 一通り意見が出そろったと思われる頃、拓斗がまた空気を変える。

 「なあ、この中に大学の裏掲示板に江藤さんのこと書き込んだ奴いる!?」

 さすがにその質問には、みんな静まり返った。いきなり直接的すぎるだろ、と千暁は不安そうな顔で拓斗を見た。すると、彼は続けてこう言った。

 「ちなみに俺、ちょっと書き込んだ!フラれてすぐは書き込まなかったけど、やっぱちょっとな!」

 拓斗がおどけながら言うと、周囲は責めるどころか、笑い始めた。そして、途端にハードルが下がったのか、暴露大会が勃発する。

 『マジか!実は俺も!いっつもスマホ持ってニヤついててキメェ!って書き込んだ!』
 『書き込みはしないけど、拡散はしたかな』
 『コラ画像作って投稿してるの、俺のダチ。さすがに自殺したって知って慌てて消したらしいけど』
 『顔写真まずかったんじゃないの?ニュースでも問題になってたよ!』
 『SNSで本人が晒してた顔だぜ?嫌ならアップするなよって話だろ』
 『バーカ。普通に名誉棄損だって。訴えられたら終わり』
 『ま、訴えるまでしないだろ!コラ画像なんか大量に出回ってたし、全員訴えてたらキリないっての!』

人の笑い声がここまで不快に感じたのは初めてだった。話はどんどんエスカレートして、隣にいた眼鏡の女の子が「実はちょっとだけ書き込んだ・・・」と言い出した時、彼は青ざめた。最初に許せないと言っていたくせに・・・!!裾を握りしめてるだけでは処理できない怒りが、表情に出た。しかし、みんないい感じに酔っぱらってて、千暁の表情など気にも留めていない。千暁は気づいた。今までは最初に『叩き』の舞台に祭り上げた人間が悪いと思っていたが、そうじゃない・・・和香菜は、こいつらに・・・みんなに殺されたんだ、と。

 飲み会が終わった後、二次会には参加せず千暁は人気のない公園でベンチに座り、一人で録音した飲み会の声を動画サイトにアップしようとしていた。説明文には飲み会に参加したメンバーで和香菜の悪口を言っていた奴らの名前を記載した。思わず笑みがこぼれる。みんなで殺せば怖くないんだよなあ?だったら、お前らも同じように方法で苦しめてやる。和香菜の苦しみを味わうがいい!!彼は死刑を執行するかのように、右手を勢いよく振り上げアップロードのボタンをタップしようとした。しかし、振り上げた右手は誰かに掴まれた。振り向くと後ろには、彼を哀れんだ目で見る拓斗がいた。

 「様子がおかしいと思って後つけてみたら・・・何しようとしてるんだよ!分かってるのか!?」

 それでも、千暁は拓斗の手を振り払い、アップロードのボタンをタップしようとする。拓斗は彼の左腕を掴み、スマホを奪い取ろうと手を伸ばす。彼は抵抗したが、拓斗に腕を捻られ、手からスマホが落ちた。すかさず、拓斗は彼のスマホを蹴り飛ばす。彼は苛立って、拓斗の胸倉を掴んだ。

 「なんで止めるんだよ!!法が裁いてくれないなら、誰があいつらに制裁を与えられるんだ!!俺しかいないだろ!!俺が和香菜の無念を・・・!!」
 「江藤さんのため?冗談抜かせよ。自分のためだろ?」

 千暁はカッとなって、拓斗を殴った。しかし、拓斗は怯まない。強い眼力で、彼を威嚇するように見ている。初めて人を殴った彼は、自分のしたことと、手の痛みに狼狽えていた。

 「殴ってスッキリしたか?・・・スッキリしないだろ?動画をアップしても同じだ。罪悪感に苛まれるだけだ」
 「苛まれるもんか!この動画をアップすれば和香菜も、和香菜の両親も手を叩いて喜ぶよ!!警察の代わりによくやったって・・・!!」

 彼が話している途中で、拓斗の拳が彼の右頬をとらえた。油断していた彼は、地面に突き飛ばされる。彼が起き上がろうとすると、今度は拓斗が彼の胸倉を掴んで言う。

「誰かに叩いてもらって、その中の一人でも自殺してくれたら江藤さんは喜ぶか!?自殺した奴の親や友達や恋人を悲しませても、江藤さんの両親は喜ぶのか!?・・・喜ばねーだろ!!」
 「!!・・・。」

 拓斗にまくしたてられるように言われ、彼は身体をビクッと震わせた。先ほど、拓斗が言った言葉が蘇る。『江藤さんのため?冗談抜かせ。自分のためだろ?』・・・自分のために違いなかった。和香菜を追い詰めた人たちに制裁を下すのが使命のように感じていた。誰からも・・・ましてや、彼女から言われたわけでもないのに・・・。拓斗は、彼のスマホを拾いに行き、動画を消した。その後、彼にスマホを返しながらしゃがみ込んで言う。

「俺たちのやるべきことは、江藤さんの死を免罪符にするんじゃなくて、無駄にしないことなんじゃないか?復讐に時間費やしてる暇なんかねーぞ!江藤さんだって、きっと天国で言ってる!千暁を犯罪者にするために命を絶ったんじゃないってな」

 千暁の目から涙がどっとあふれた。それはまるで、ずっと塞き止めていた川の仕切りを取り外したかのように。

「和香菜ぁーーー!!!ごめん、俺・・・俺!!」

彼は箍が外れたように、泣き出した。辛かったのに、気づいてあげられなくて・・・そばにいてあげれなくてごめん・・・。そう言いたかったが、嗚咽でまともに言えなかった。彼は心から制裁を望んでいたのではない。彼の心の奥の奥にあったのは、一つだけ・・・そう、彼はただ、彼女に許されたかったのだ。

 千暁と拓斗はその後、二次会が行われているカラオケへ足を運んだ。そして、拓斗はさっきの1次会でのやり取りが和香菜の追い詰めた犯人を捜すために仕向けたことだったと発表した。みんな、拓斗に不信感を顕わにしたが、彼が自分のせいで彼女がいじめられるキッカケを作ってしまったのかもしれないとう心境を吐露すると空気が徐々に変わった。それからは、暴露大会ではなく、懺悔大会だった。眼鏡をかけていた女子は泣き出し、友達がコラ画像のアップ主だという男子はその場で電話をかけ「二度とするな!」と怒鳴った。千暁はその一部始終を見て、拓斗という男を慕って作られる『この空気』こそが和香菜を追い詰めた犯人なのではないかと思った。だからといって「犯人は拓斗だ!」と言う気にはなれない。彼自身は誹謗中傷を書き込んでないし、殺意もないのだ。
 でも、仮にもし拓斗が故意に『この空気』を操り、彼女を追い詰めていたのだとしたら・・・完全犯罪と呼べるのではないだろうか。千暁は法律と法律の隙間から、この世の闇と相見(あいまみ)えた気がした。

1週間後。千暁は和香菜の家へ行き、彼女の母親と再会した。前に会った時よりも白髪が増え、顔もげっそりしていた。彼は一礼した後、和香菜さんにお焼香をあげさせてほしいと頼んだ。彼女の母親は優しそうに微笑み、彼を中へ招き入れた。彼女の母親は、彼女の死から半年経っていて、精神的にも落ち着いたように見えた。
 リビングへ行くと、ベランダには半年経った今もたくさんの献花が置かれていた。言われずとも、彼女からここから飛び降りたんだと物語っている。

 「佐々倉君が来てくれたわよ。良かったわね、和香菜」

 和香菜の母親は、ベランダの出入り口近くの仏壇の前に焼香の準備をしながら、彼女に話しかけた。写真に映る屈託ない彼女の笑顔が懐かしく感じると同時に、今はもういないという喪失感が押し寄せてくる。彼はお焼香をあげた後、リビングを見渡した。すぐに目に入ったのはソファだ。彼が隅に座って、和香菜が泣きついてきた様子が今も鮮明に思い浮かぶ。固まったようにソファを見てると、和香菜の母親はお茶菓子を用意しながら話す。

 「和香菜はよくそのソファに寝転がってたのよ。まるで自分のベッドみたいにね」

 そう言われると、和香菜が寝転がっているのが思い浮かんだ。純粋に寂しかったんじゃないか、と彼は思った。両親が共働きで、一人っ子・・・大学の同級生はSNS依存症と揶揄していたが、SNSさえも彼女にとっては寂しさを紛らわせる存在であったのかもしれない。彼女の母親はテーブルの椅子に座るよう彼に促した。

 「当時は、酷い事を言ってしまってごめんなさいね」

 彼には、彼女の母親が何のことを謝ってるのかはすぐに分かった。霊安室の前でどうして和香菜を支えてくれなかったんだと言ったことに違いない。

 「いえ・・・本当のことだと思いましたから」

 それから、彼女の母親は彼が聞いてもいない和香菜の話をしはじめた。2300gの低出生体重児で生まれたこと、お菓子を食べ過ぎて昔太っていたこと、気が弱くて派手な子の真似ばかりしていたこと、片想いしてた子にフラれて3日間部屋に引きこもっていたこと・・・それらの話は、彼女の想い出を回想しているようでもあった。

 「あらやだ・・・無駄話が過ぎたわね。今日はお焼香に来てくれてありがとう。和香菜の分まで元気でね」

 長話に付き合わせてはいけないと思い、彼女の母親は立ち上がった。彼は、彼女の母親の話し方から、自分がもうここへ来ることはない体(てい)で話されていると分かった。前に彼女の父親と話した時もそうだった。二人は、娘を失ったばかりだというのに、和香菜が千暁の将来の負担にならないよう一生懸命配慮してくれていた。それなのに、彼は今までは彼女を死に追いやった犯人を見つけて、制裁を与えることばかり。しかも、それがまたこの両親を悲しませることになると知らずに・・・。でも、今の彼には何をすべきか、どう生きるべきかが見えてきていた。彼は立ち上がって、目をそらしている彼女の母親の目をじっと見ながら言った。

 「来年もお焼香に来ていいですか?」

 彼女の母親は一瞬驚きながらも、テーブルを片付ける動作を止めることなく、ふふっ、と優しく笑う。

 「いいのよ。もう十分よ。佐々倉君には佐々倉君の・・・」

 彼は、彼女の母親の言葉制す。

「忘れたくないんです!たった4カ月の付き合いでも、彼女は僕の人生でかけがえのない存在なんです!」

 語気を強めて言ったので、彼女の母親は身体をビクつかせた。その後、彼の顔を見て、唇を噛んで、必死に目にたまった涙をこらえていたが、口元が緩ませると同時に涙も溢れた。

 「はい。来年も会いに来てやってください。」

 ベランダから勢いよく吹き込んできた風が、彼と彼女の母親の髪を揺らした。

パティシエのアリス・ファンミーティングのご案内

いつもパティシエのアリスをご愛読いただきありがとうございます♪
この度、初のファンミーティングを下記の日程で開催する運びとなりました。
読者の皆様にはぜひご参加いただき、推しキャラの話や感想などを思う存分 語り合う場にしていただければ幸いです。

※※ お知らせ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
受付を終了いたしました。ご応募ありがとうございました。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

<<開催日時>>
2019年11月2日(土)11:00~ 3日(日)12:00

<<集合場所>>
恵比寿ガーデンプレイス
(詳細な集合場所は参加者のみにご連絡いたします)

※最寄り駅は恵比寿です。
※新幹線でお越しの方は品川駅で降りて、山手線に乗り換えるとスムーズです。

<<予定スケジュール>>
11:00 ~ 13:00 ランチ
ランチを堪能しつつ、自己紹介やあらかじめご記入いただいたアンケートを元にお話しできれば♪

13:00 ~ 18:00 パティアリ鑑賞会 昼の部
パティアリを大画面に映しながら鑑賞会を行います♪
歓談しながら、菓子でもつまんでまったりと♪
(ファンミーティング限定エピソードも!)

18:00 ~ 21:00 ディナータイム
クイズなどの企画を考え中

21:00 ~ 翌日12:00  パティアリ鑑賞会 夜の部
引き続き鑑賞会を行います♪ 起きてられるかな?
(※眠かったら無理せず寝てくださいね♪)

<<参加者全員プレゼント>>
パティシエのアリス・オリジナルアクリルキーホルダー(どのキャラかは参加してからのお楽しみ♪)

<<費用>>
【受付終了】ランチだけ参加 → お召し上がりいただいた飲食代のみご負担お願いします(1000円~2000円程度)
【受付終了】ランチと昼の鑑賞会に参加→ 飲食代+ルーム代をご負担お願いします(3000円~5000円程度)
・ランチから夜の鑑賞会までフル参加 → 飲食代+宿泊代をご負担お願いします(2万円程度)

<<参加条件>>
【その1】パティシエのアリスを最新話まで読み進めていること
※当日は皆様が最新話まで読まれていること前提で話を進めていきます

【その2】前作&前々作を読み終わっている(もしくはネタバレOKの方)
※ネタバレNGの方は参加する日までに読み進めてもらえれば

【その3】やばい作者だと分かっても、引き続き読者でいる覚悟のある方
※中身が人間じゃないので幻滅する部分 多々あります。ご覚悟を♪

<<注意事項>>
・未成年の参加者様は高校生以上で、18時までとさせていただきます
・パティアリ鑑賞会 夜の部は20歳以上の女性限定です
・写真撮影、SNSへのアップなどは必ず許可をとってからお願いします
・勧誘、セールスなど、その他 参加者の皆様が嫌がる行為はご遠慮ください
・飲酒・喫煙はご遠慮ください

<<参加方法>>
・作者の公式Twitter・神森真昼(@DARKDRIVENET)に、

(1)お名前(ニックネームやSNS上での名前で大丈夫です)
(2)7月1日以降に最新話で紹介されるキーワード
(3)参加できる時間帯(昼だけ OR 昼の部まで OR ディナーまで OR 朝まで!)
(4)年齢(20歳以下の場合は具体的な年齢もお書きください OR 20歳以上)
(5)性別
(6)パティアリの推しキャラ

を明記の上、ダイレクトメッセージで送信してください。
(Twitterのやり方がどうしても分からない方はメールでお問合せいただいても大丈夫ですが、読者様の受信設定でご返信ができない場合がございます。ご注意ください。)

※予想より多数のお申込みがあった場合は、抽選になる可能性がございます。
※少人数制のため、早めに締め切る場合がございます。

アットホームな感じの集まりになると思います。
友達の誕生日パーティーに参加するような気分で気軽にご参加くださいませ♪

神森 真昼

「パティシエのアリス~おかしなおかしな、もう一つの世界~」本日より配信開始です♪

メルトコンプレックスの連載が終わってから1年近くかかりましたが・・ついに次回作「パティシエのアリス~おかしなおかしな、もう一つの世界~」が本日より配信開始です♪

今作から開発環境を一から作り直したため、リリースするのに時間がかかってしまいました💦
・・が!!前作からパワーアップしてかえってきましたので、そのことをご紹介させてください♪

1.BGMと効果音がついて、物語の没入感がアップ♪
前からつけたいなあと思っていたものの、動作が重くなってしまうのではないかという懸念からつけれなかったBGMと効果音・・今作からいよいよ実現となりました!ぜひ音が出せる環境で、今までよりももっとのめり込んで物語を読み進めれちゃうこと間違いなしです(*^▽^*)♪

2.表情パターン・ポーズの追加
KIRIKA(1作品目)から表情パターンの多さを売りにしてる当作品ですが、今作もさらに追加しています!特にポーズはメルコン(2作品目)では3パターンぐらいしかありませんでしたが、10パターンぐらいに大幅に増えています!さらに生き生きしたキャラを本編で体感してみてくださいね♪

3.イベントシーンが復活!
メルコンではイベントシーンはなくてもいいかなとカットしたんですが、再検討して今作より復帰という運びとなりました♪KIRIKAと同じようにイベントシーンも表情が変化します(中には変化しないのもありますが)イラストも以前より成長してますので(苦笑)ぜひ楽しんでもらえたらと思います♪

4.シークレットキーでいろんなルートを見られる!
前作まで物語の分岐はエンディングのみだった当シリーズ。今作からはシークレットキーというアイテムを使うことで、本編以外のルートを覗き見できちゃいます♪本編=正しい選択というわけでもありませんので、あなただけのベストエンディングを探しながら読むのもよし、意中のキャラといちゃいちゃするのを目的で読むのもよし、危ないことを期待しながら読むのもよし・・・です!シークレットキーは有料となりますが、次回予告で配布する場合もありますので、この機会にぜひ連載中に読み進めてみてくださいね♪

5.2週目読みがラクに♪
今まで最後まで読んでしまうと、「つづきから」ボタンが常に最新話になってしまい、チャプターを覚えてないとつづきから読めないという状態になってましたが、今作は直前に読んだところから物語を再開するように切り替えました!連載中はどうしても数話ずつ読み進めなければならないため没頭感にかけますが、連載が終わったらぜひ一気読みしてみてくださいね♪

では、次は今作「パティシエのアリス~おかしなおかしな、もう一つの世界~」のみどころをご紹介!

1.恋愛対象キャラがいっぱい!?シリーズ史上最高のモテモテをあなたに♪
メルコンのアンケートからキャラを増やして欲しいという要望が多くあり、今作は大幅にキャラを増やしてみました♪・・とはいえ、普通の世界で主人公だけがモテまくるのはかなりリアリティーにかけるので、ならばどういう環境なら主人公がモテまくるのかと考え、今回の男ばっかの世界観に至りました♪数々の恋愛トラブルに主人公は頭を悩ませることになりますが、読者の皆さんはニヤニヤしながら読み進めていただければと思います♡

2.誰と付き合うのか予測がつかない!?
KIRIKAだったらユーリ、メルコンだったらシュウ・・・なんとなく最後にくっつく相手が予想ついてましたが、今作は非常に分かりづらくなっています。もちろん、話が後の方になるにつれて分かってくる部分はあるのですが、登場人物を見て、最後に付き合う相手を予測できるのはなかなかいないのではないでしょうか?ぜひ、連載中に主人公が誰と付き合うのか予想しながら、リア友、ネッ友と盛り上がっていただけたらと思います♡

3.コンセプトは「迷いながら生きる」
女性の一番の迷いどころといえば、結婚・出産なのではないでしょうか?今回の作品は、結婚・出産に言及することも多く、世代によっては耳が痛くなるようなことも言われることもあります。・・ですが、主人公の生き方を通して、迷いながら生きるのも悪くないんだなあとか、間違っててもいいんだなあとか、思ってもらえたら嬉しいです♪

「パティシエのアリス~おかしなおかしな、もう一つの世界~」はAndroidとiPhoneの各種ストアで配信中です!
また、ブログはほとんど更新してないため、Twitterが最新情報の発信源となっています。最新話まで読み終わりましたら、ぜひ公式アカウント(@DARKDRIVENET)をフォローして情報をチェックしてもらえたらと思います♪

では、最後にビジュアルを掲載しておきます♡

ここまで読んでいただきありがとうございました♪

神森 真昼

パティシエのアリス・イメージ1パティシエのアリス・イメージ2パティシエのアリス・イメージ3パティシエのアリス・イメージ4

パティシエのアリス・プロローグ

有栖サラ(名前変更可能)は、お菓子作りが大好きな女子高生。

たくさんの友達とかっこいい彼氏にも恵まれ、楽しい学園生活を送っていた。

しかし、課外実習で訪れた島で異変が!

突然、通信手段を断たれ、友達も武装集団に拘束されてしまったのだ。

サラは身の安全を図るために、偶然居合わせたクラスメイトの男子・ニアと逃亡することに・・・。

何とか逃げ切ったものの、迷い込んだ森で遭難してしまったサラとニア。

『時間が経てば救助がやってくる』と信じていた。

しかし、二人の前に現れたのは、先生でも救助隊でもなく・・・見慣れない服装の兵士だった。

兵士は言った。

「君たちは、異世界へ来てしまったんだよ」と・・・。

兵士・ロイによると、元の世界へ帰るのは絶望的らしく、二人は案内されたミルスイーツという国で暮らすことを余儀なくされてしまう。

しかし、ミルスイーツには『女性は子供を5人産まなければならない』というおかしな法律が存在し・・・!?

女子が少ない超少子化社会で、独占欲の強い男子たちが主人公を奪い合い!?

おかしなおかしな世界で繰り広げられる、魅惑すぎる恋愛ファンタジー!

・・・
パティシエのアリス~おかしなおかしな、もう一つの世界~は、Android&iphoneアプリで今年中に連載開始予定です。Twitter(@DARKDRIVENET)では、キャラや世界観などの追加情報を随時アップしていきますので是非ご覧ください。

ここまで読んでいただきありがとうございました♪

神森 真昼

恋愛ファンタジーノベル第3弾「パティシエのアリス」発表!!

メルコンの連載が終わって半年ぐらい経ちました今日、恋愛ファンタジーノベルシリーズ第3弾のタイトルを発表しました!
「パティシエのアリス~おかしなおかしな、もう一つの世界~」と言います♪
まだ第一章(30話ぐらい)しか書けてないですし、グラフィックの用意も十分ではないので、公開はまだまだ先になりますがタイトルだけはそろそろと思い、本日公開いたしました!

パティシエのアリス
パティシエのアリス

ロゴはパティシエと主人公が物語で身につけるリボンをあしらってみました♪色調は全体的にピンクとグレーでまとめ、ピンクで恋愛や可愛らしさを、グレーで混沌とした世界を出しています。(暗い話ではないんですけどね笑)

タイトルも発表しましたので、公開までに少しずつ情報をアップできたらと思いますが、基本的にTwitterに情報を掲載していきますので、そちらをフォローして閲覧していただけるとスムーズです(筆まめな人間じゃないもので恐縮です💦)

また掲載できそうな情報が出てきましたら随時掲載していきます♪今作「パティシエのアリス」もどうぞよろしくお願いいたします

ここまで読んでいただきありがとうございました♪

神森真昼

メルトコンプレックス~相容れない二つの世界~ついに完結!

※メルトコンプレックスを最終回まで読み終わった方のみ閲覧することをお勧めします。

1年半ご愛読いただきありがとうございました!

当日は更新が23時過ぎになってしまい、すみませんでした!
深夜にも関わらず、たくさんの方が読んでくださってたようで本当に嬉しいです(:_;)
早速、アフターストーリーを購入して読んでくださった強者さんもいらっしゃったようで・・・
ありがたい反面、翌日大丈夫なのかなあとそわそわしてました(笑)
でも、自分の話を夢中になって読んでもらえるのは本当に嬉しいこと!
売り上げは次回作の開発費用に充てさせていただきます♪

エンドチャプター(あとがきなどなど)も、もっと書きたいことたくさんあったはずなどですが・・・
いざ書こうとすると何を書いていいのやらで(笑)
でも、伝えたいことはストーリーに盛り込んだつもりです!٩( ⁰▿⁰ )و
それに、物語を読んで何を思うかも人それぞれだと思いますし、私が描こうとしたストーリーが必ずしも正解だとも思っていません。
読者の皆様の中で何か感じるものがあったとしたなら、それが正解です♪

ブログはほとんど更新してないのですが、Twitterはほぼ毎日更新しています。次回作情報やKIRIKAやメルコンのイラストなどもアップしていますので、定期的にチェックしてもらえると嬉しいです♪

当面は次回作、シュウルートにつながる星の区ルート続編小説などの執筆やイラストなどを描きながら、またいつの日かの連載に向けて準備を進めていきたいと思います♪なお、メルコン、KIRIKA関係の小説はフォロワー限定公開を予定しています。Twitterアカウントをお持ちでない方は、大変恐縮ですがアカウントを作成してフォローしながら待っていただけると嬉しいです!

ここまで読んでいただきありがとうございました♪

神森真昼

一気読みできる乙女ゲームアプリを紹介します♪

「乙女ゲームを一気読みしたい!」

けど、アプリで出ている乙女ゲームの多くはインストールは無料でも
・体力があって一気に読めない
・課金しないと最後まで読めない
などの理由で一気に読むことは難しいですよね(;´・ω・)

しかも、キャラごとのエピソードや攻略が優先になりますので、どうしてもストーリーがおろそかになりがち・・・
「一気読みしてとことん世界に没入したい!」
「ストーリーも十分に楽しみたい!」
そんな方におすすめなのが私たちが出しているビジュアルノベルアプリです♪

現在は2作品あり、
「KIRIKA~同じ人間がいる、もう一つの世界~」(完結)
iPhoneでKIRIKAをインストール
AndroidでKIRIKAをインストール
「メルトコンプレックス~相容れない二つの世界~」(現在連載中・130話まで一気読み可能)
iPhoneでメルコンをインストール
Androidでメルコンをインストール
がアプリをインストールしていただければ、登録不要、無課金で最後まで読むことができます。

ストアページにも書いてありますが、
・選択肢は最終話のみ(KIRIKAの場合は2ndシーズンでキャラごとのルートに分岐、存分にキャラとのエピソードを楽しめます。)
・KIRIKAの2ndシーズン後のアフターストーリーは有料(ですが、かなり良心的な値段なはず!)
となります。あらかじめご了承ください。

是非一度、試しに読んでみてはいかがでしょうか?

神森真昼
NECO

【LINEスタンプ】「メルトコンプレックス~相容れない二つの世界~」のLINEスタンプが販売開始!

「メルトコンプレックス~相容れない二つの世界~」の1周年を記念してLINEスタンプを作っちゃいました♪
前作「KIRIKA~同じ人間がいる、もう一つの世界~」のユーリとハルキも登場しますので記念におひとついかがですか?( *´艸`)

スタンプショップで詳細をチェック!

LINEスタンプ その1

LINEスタンプ その2

いろんな場面で使える言葉を選びつつ、メルコンキャラも意識しつつ・・・
あと、やさしい感じで伝わるようフォントを手書きっぽくしました。

個人的な感想
・キョンスケの「突然すまんのう」とメルの「ありがとう」は使いやすそうです。
・アツムの「どういたしまして」はありがとうスタンプのお礼に使えそうです。
・気ごころしてない人と会うときに日比谷先生の「今から行くね」は使用禁止です笑
・メルコンを知らない人に積極的に送ってあげてください。相手が「何のキャラだよ!」と突っ込んできたら沼に引きずり込んであげましょう。笑

スタンプの購入はこちら

最後まで読んでいただきありがとうございました。これからもメルトコンプレックスをよろしくお願いします♡

4週連続企画「みんなで作る夢のホワイトデー」の裏話

※この記事は、恋愛ファンタジーノベルアプリ「メルトコンプレックス~相容れない二つの世界~」のネタバレを含んでいます。最新話まで読んでない方、ネタバレされたくない方は、読まないことをお勧めします。

いつもメルトコンプレックスを読んでいただきありがとうございます。作者の神森真昼です。

思えば、iPhone版を出してからというもの、メルコンに関して全く記事を書いてませんでした!本当は、もっと宣伝や告知をしていかなければならないんですけどね・・・ 苦笑

今回は、4週連続企画「みんなで作る夢のホワイトデー」と題し、ホワイトデーまでの1ヶ月とアンケート機能をフル活用して、一緒にストーリーを作ることはできないだろうかと思い、企画いたしました♪

■1週目の場所の候補は・・・
1:教室
2:グラウンド
3:ファミレス
4:Bさんの家
5:ホテルの一室
でしたね♪

面白半分に選択肢に入れておきながら、ホテルの一室に決まったらどうしようと、内心ヒヤヒヤしていましたが、教室に決まってひと安心!なんだかんだ言っても、王道が好きな方が多いんだなと思いました♪(とはいえ、Bさんの家、ホテルの一室もけっこう票入ってましたけどね 笑)

■2週目の登場人物の選択肢は、驚いた方もいらっしゃったかな?そう・・・Aさん、Bさん、Cさんの選択肢が男女区分けなしなんです( ̄ー ̄)ニヤリ どんな需要があるのかなと、いささかチャレンジなことしましたが、結果を見てみると こちらも王道な感じで・・・!!

Aさん(主人公役)が大差でメルに決まり、(メル、愛されてるなあ・・)
Bさん(好きな人役)がアツムに決まり、(ちなみに2位がメル。どっちが主人公か分かりづらかったかな??)
Cさん(乱入者役)がシュウに決まりました。(順当すぎて、言うことが・・・)

やはり、皆さん、最新話まで読んでるだけあって、本編に近しいお話が好きな方が多いのかなと感じています♪

■最後のアンケートでBさんのお返し内容を決めましたね!
お返し内容の候補は・・・
1:手作りクッキー
2:アクセサリー
3:ペアチケット
4:花束
5:自分
でしたね♪

最後は相変わらず面白半分で『自分』なんて入れておきましたが、読者んは王道が好きだし、ここは1がくるのかなーと予想していたわけです。・・・ですが、ですが・・・!!結果を見てみると、『自分』が圧倒的大差で票を占めていました。理由の1つとして、お返しをするBさんが何者であるかを明確にしなかったのが大きかったんだと思います。そのため、Bさんがシュウだと思っている方は・・・『自分』に入れたいですよね♪シュウは、素で言いそうですからね 笑 アツムが好きな方でも、あのアツムが『お返しは俺でもいい?』なんて言ってるところ、ちょっと見たいですよね♪

・・・という私なりの解釈と偏見を入れた結果、アツムの純な可愛さをメインに、シュウのあざとい可愛さも楽しめる、夢のホワイトデー♡となりました♪

『夢のホワイトデー』も1週間限定公開となりますので、リピ読みはお早めに♪

ここまで読んでいただきありがとうございました♪

2016.3.13
神森 真昼

iPhoneプッシュ通知(APNs)の証明書を作る

iPhoneアプリでプッシュ通知するには、
対象のアプリのプッシュ通知証明書を毎年更新する必要がある。
Appleから取得できる証明書は「.cer」だが、サーバーで使うのは「.pem」なので、変換が必要になる。
やりかたを毎回忘れるのでその時に備えたメモ。

事前に済ませておくこと
・鍵ペアを作成する
・証明書の作成に必要な証明書署名要求を作る
・iOS Dev Centerで証明書を作成する
・キーチェーンアクセスに証明書を登録する

以下の手順でやる

・キーチェーンアクセスから証明書と秘密鍵の書き出しを行う
『証明書』からプッシュ通知用の証明書を右クリックして書き出す
apns1

ファイル名は「apns-dev.crt.p12」で保存
apns2

パスワード入力画面では、便宜上、空欄のままOKを押す
apns3

証明書に紐づく秘密鍵を右クリックして書き出す
apns4

ファイル名は「apns-dev.key.p12」で保存
apns5

パスワード入力画面では、便宜上、空欄のままOKを押す
apns6

証明書をPKCS12形式からPEM形式に変換する

cat apns-dev.crt.p12 | openssl pkcs12 -passin pass: -clcerts -nokeys > apns-dev.crt.pem

秘密鍵をPKCS12形式からパスワード付きのPEM形式に変換する(空パスワードは指定できない)

cat apns-dev.key.p12 | openssl pkcs12 -passin pass: -passout pass:PASS -nocerts > apns-dev-with-password.key.pem

秘密鍵からパスワードを除去する

cat apns-dev-with-password.key.pem | openssl rsa -passin pass:PASS > apns-dev.key.pem

証明書と秘密鍵を合成する

cat apns-dev.crt.pem apns-dev.key.pem > apns-dev.crt+key.pem

2015.9.6
NECO